2011年12月30日金曜日

オペラ初心者のための《トリスタンとイゾルデ》 - NHK-FM《バイロイト音楽祭2011》最終日

タンホイザーで開幕した2011年のバイロイト音楽祭は、楽劇《トリスタンとイゾルデ》で閉幕しました。今週のNHK-FM《バイロイト音楽祭2011》の放送も、今夜の《トリスタンとイゾルデ》が最後となりました。昨日の《パルジファル》を聞き終えて、あぁ、年越しだなぁと感慨にふけって今夜の放送を忘れるところでした。

Ti_020711_071

楽劇《トリスタンとイゾルデ》の舞台はコーンウォルでドイツではないのですが、惚れ薬を飲んでしまって国王に貢ぎ物として連れてきた姫に恋心を抱いてしまい、敵前逃亡ならぬ帰国直前に姫と逃避行してしまったトリスタンという騎士の悲しい物語。国王の側近に負わされた傷がもとで、最後は死んでしまうのですが幻夢の中で姫に再会する演出や、実際に姫が到着した時には既にトリスタンは事切れていた。と《ロミオとジュリエット》みたいな解釈が様々で、また、初心者でもいろいろ想像できるのが人気の理由でしょう。
歌舞伎などにも翻案しやすいですね。

2011年12月29日木曜日

養老孟司氏の言葉のように『すでにやってしまった以上は、その結果が良い方に向かう様に後の人生を動かすしかない。』

養老孟司氏の言葉のように『すでにやってしまった以上は、その結果が良い方に向かう様に後の人生を動かすしかない。』

NHK-FMの《バイロイト音楽祭2011》4日目は舞台神聖祭典劇《パルジファル》。結婚し損ねた白鳥の騎士《ローエングリン》のお父さん、《パルジファル》も子供の時に飛んだドジをしでかしている。でも、ローエングリンが『聖杯グラールの物語』で朗々と父を賛美し、ここぞとばかり自分の出自を誇示して自分を馬の骨呼ばわりした民衆にいひゅ返しをしている。

P1080292

Bayreuther Festspiele 2011: Parsifal « rossignol via rossignols.wordpress.com

 

2011年12月28日水曜日

バイロイト音楽祭の上演でだけ、聴く機会のある楽器は何でしょうか? - NHK-FM《バイロイト音楽祭2011》でロマン的歌劇《ローエングリン》放送

楽器にも名前を残したワーグナー。金管楽器の中で最も大きいワーグナー・チューバがそれで、ワーグナーよりも前の時代の作曲家であるベルリオーズの管弦楽曲でも、現在では使われているという不思議に出会う。

L_160711_617

重低音と言えばパイプオルガンだけど、オルガンを備えたオペラ劇場はあるのか無いのか。重低音が出ていることでオーディオファイルが好きな録音に指折る、ショルティが録音した《ラインの黄金》は冒頭の重低音は実際は楽器の音ではなかったりします。

2011年12月27日火曜日

のど自慢の賞品は、親方の美しいお嬢さん - NHK-FM特集《バイロイト音楽祭》第2日、歌劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》放送

歌劇《タンホイザー》・・・ワーグナーは《トリスタンとイゾルデ》を作曲する時に《楽劇》と作品を称しました。歌劇、番号付きオペラとも言うのですが、序曲、アリア、重唱とそれぞれが一曲毎に完結していて『第何幕の何番のアリア』と言われることが普通です。『交響曲第何番の何楽章』と言った感じと言えばわかりやすいでしょうか。

歌劇《タンホイザー》には、後の楽劇への種が芽生えていて《パリ版》では序曲と第1幕冒頭のバレエ音楽が繋がるように作り替えられています。初演の《ドレスデン版》の他にも複数のバージョンが存在する、いかにも当時の"歌劇事情"を感じさせます。

ワーグナーとしては状況に応じてスタイルが変わってしまうのを嫌で、楽劇と云った独自の方式をとるようになったのでしょうかね。

Wagner120090727104431

2011年12月26日月曜日

タンホイザー・レストラン - NHK-FM特集《バイロイト音楽祭》第1日、歌劇《タンホイザー》放送

苦虫を噛みつぶしたような表情で、庭の隅から見つめているワーグナーに出会いそうだ。もとより、総合芸術とオペラを位置づけたワーグナー。台詞と演技と歌唱を一体化させるために、メロディーラインでなくライトモチーフとして台詞のように歌い演じる。その理想の上演の場としてバイロイト祝祭歌劇場を造り、夏の間だけ、しかも上演される作品はワーグナー自身の歌劇とベートーヴェンの《第9交響曲》だけと定めた音楽祭を開いた。

Wagner0001

数年前に運営の権利は公共のものとなったけれども、上演に関しての一切はワーグナーのひ孫たちが取り仕切っています。

さて、苦虫を噛みつぶしている。だろうなと思うのは、近頃の新演出にはブーイングが必ずつくことです。衛星回線を使った生中継も行われるようになりましたけれども、NHK交響楽団の定期演奏会も同様に映像を含めた放送は初日の上演では行われない。

2011年12月21日水曜日

独DEUTSCHE GRAMMOPHON 2530 730 [ブルーリングラベル] ナタン・ミルシテイン(P)、J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ No.2、3

Dg2530730

【器楽曲】2011年12月21日現在、販売中。オーダーはこちらへ http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e105163.html

  • レーベル: 独 DEUTSCHE GRAMMOPHON
  • レコード番号: 2530 730
  • オリジナリティ: ブルーリング・ラベル、チューリップ・ラベルでの発売はされていません

曲目

  • J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ No.2、No.3

演奏

  • ヴァイオリン:ナタン・ミルシテイン

《音楽カレンダー》美しい音はそれぞれあれど、"高貴"の二文字がふさわしいナタン・ミルシテインが没した日。 - 12月21日のメモリアル

気品のあるヴァイオリン、高貴な音楽・・・と美音を讃えられるヴァイオリニスト。ナタン・ミルシテインが他界してから2012年12月21日で、ちょうど20年になります。気高さを感じさせ、ヴァイリニストにかっこよさを感じさせられた男性ヴァイオリニストでした。

Milsteinhorowitzpiatigorski

ミルシテインのヴァイオリンは、甘い音色と繊細な気品溢れる歌心が魅力的だった。食と美術を愛し、おしゃれでユーモリストのスパイスが加えられたその演奏には、知性を感じさせる貴族趣味が反映されている。

2011年12月20日火曜日

《蓄音器の音》聴きませんか - 百万の人々よ、互いに抱き合え、全世界の接吻を受けよ! 《第9》の第4楽章を聴く

学校で教師からクラシック音楽のレコードを聴かされた時には、馴染めないというのか不慣れな音楽に違和感を感じて以来クラシック音楽を遠ざけてきたけれども、この会で少しずつ聴かせて貰うことで面白いと思うようになりました。その説明が楽しいからかもしれません。

12

レコードをかけて、解説をすることの嬉しい冥利はそう言われるところにある。クラシック音楽の通の人、レコードを良く親しんでいる人からすれば、至極当然な情報を変に平板な言葉で説明するだけ。そう思われるのも致し方のないこと。

2011年12月19日月曜日

《蓄音器の音》聴きませんか - 英国盤と同じマトリックス、プレスの質は日本盤の方に軍配を上げざるを得ない。

来年、2012年はドビュッシー、ディーリアスが生誕150年。ディーリアスは英国音楽に興味を持ちだしてすぐに色合いが違うことで惹かれた作曲家でした。出逢いはフェンビー、ビーチャムの英国管弦楽小品集の中でした。中学三年の時にシューベルトの曲はほぼすべて・・・読破、ならぬ・・・読聴。ベートーヴェンやバッハとなれば、論陣は数多いし録音も聞き比べまで要されるだろうと思ったから、まずは程良い作品量とステイタスのある作曲家から"制覇"しようとしていたのです。

4

作曲数はあっても購入してレコードが揃わなければ意味ない、ラジオなどからの情報も大切だ、『好きな作曲家は?』なんて話題の時に少なからず知られた名前の作曲家でなければ面白い事にならないし、情報交流が孤独なものでは嫌だ。

ワーグナーのすべてのオペラをFM、レコードですべて聴いたのが高校入学の年。ワーグナーの交響曲、ピアノ独奏曲、室内楽などがマイナーレコードを通して日本盤が発売されたのも奇しくも幸いしました。

その後は、ロック、ジャズへの関心も広まってクラシックだけに集中するのが難儀になっていったけれども、ディーリアスにターゲットが定まったのは輸入レコードショップ・FMウッドストックで、ディーリアスのCDをまとまった形で聴くことが出来たこと。しかし、これ期待ほどにはその後の展開が望めないままです。

2011年12月18日日曜日

《蓄音器の音》聴きませんか - 人類愛の賛美、75年の時間を超えて胸に響く《歓喜の歌》

初雪となった金曜日、前日の半分以上に気温が上がらなかった寒い土曜日。明け方までは暗く、夜まで寝過ごしていたかと思ったほどだった日曜日の朝。昼前には青空と太陽が出て、出掛けるまたとない機会となりました。

熊本博物館で開催した今年最後のレコードコンサートは、参加者の心配は無用だったようで例年末よりは多い参加がありました。日頃2階研修室での開催の場合は資料のプリントを抑えているのですが、《第9》なのでと多めに用意したものが余ったのもわずかで嬉しいものでした。しかも、レコードを再生中の集中力には尚のこと嬉しいものでした。録音を聴く限りでは、参加者が少なかったのでは無いかと思えるほど物音は静かです。

Beethoven_door_lyser

今年も皆さんのたくさんのご参加感謝します。来年最初のコンサートは、1月22日の開催になります。これまで12月と1月は第3日曜日に開催していましたが、元日が日曜日になることから1月の第3日曜日が15日に当たり、熊本博物館に会場を確保できませんでした。その為の変更です。お間違いの内容に宜しくお願い致します。

2011年12月17日土曜日

《蓄音器の音》聴きませんか - 初雪の熊本に流れる第9の調べ 明日、日曜日に第284回蓄音器でレコードを楽しむコンサートを開催致します。

熊本では昨日、16日金曜日に初雪が観測されたと気象台から発表がありました。午後3時頃に降った小雨の中に雪が舞っていたと言うことで、昨年より9日早く、例年からは7日早い初雪の観測記録となりました。

いつもは熊本で雪を感じるのは、年越しの時期や初売りの買い物の帰りだったり。昨年は年末の買い物の最中でした。日本の北の方では一晩で庭の愛車が雪に埋もれている。今から掘り出してから出勤だと写真を見せてくれたネット越しのつきあいも今朝はありました。そうした風情からすれば熊本は可愛いうちだろうけど、道を歩いていて雪がちらついている光景はクリスマスを過ぎて年の瀬を感じます。

Chax65-1a

年の瀬のクラシックの恒例はベートーヴェンの『合唱』。今日、12月17日はベートーヴェンの誕生日です。

2011年12月16日金曜日

《蓄音器の音》聴きませんか - くまもとの風スペシャルにSPレコードと蓄音機を楽しむ会が出演 - 2011/12/16

金曜日(2011年12月16日)、午後7時30分からNHK熊本で「くまもとの風スペシャル〜くまもと歌物語音楽祭〜わが心の熊本メロディー〜」に当会、SPレコードと蓄音器を楽しむ会会長が出演します。

Chax65-1a

毎月のコンサートでは、数年来一番最後に熊本ゆかりの音楽をレコード、テープで聴いて頂いて締めくくりとしてきました。これは熊本博物館からの要望があったもので、全国的に知られたものから地元でも知られていない曲、忘れられてしまっていた曲などを紹介しました。

2011年12月12日月曜日

大人気盤入荷 購入希望はこちらへ ジャクリーヌ・デュ=プレのドヴォルザーク:チェロ協奏曲(英EMI ASD 2751)

ドヴォルザークの《チェロ協奏曲》は、19世紀から20世紀へとクラシック音楽の発展を橋架けた名曲です。クラシック音楽の作品群にはチェロ協奏曲がベースにあり、バロック時代から古典派にかけて協奏曲の作曲家はチェロ協奏曲の作品が占める割合が多い。それは仕えていた貴族の主が主にチェロの奏者であったからです。

ですが、主の嗜好、或いは技量にあわせて作曲されていたので同曲異版といった印象は否めない。現在のチェリストが嘆くのは仕方の無いことでしょう。

しかし、かなりのトライがなされ尽くしていたので以降の作曲家は《チェロ協奏曲》を多く書いていません。そうして19世紀が終わろうという頃になってドヴォルザークが《チェロ協奏曲》の決定版を書きました。これを聴いてブラームスが、「チェロでこんな素晴らしい協奏曲がまだ作曲できる余地があったとは、不覚だった」と驚嘆。20世紀のクラシック音楽は、このドヴォルザークの《チェロ協奏曲》に触発されたウォルトンの作品で幕開くのでした。

これまでドヴォルザークの《チェロ協奏曲》の推薦盤を尋ねられた時には、ジャクリーヌ・デュ=プレの演奏盤を奨めてきました。ただし、『音の印象は、英オリジナル盤を聴いてのもので、CDを聴いての感想ではありません。』と一言は外せない。

出物は争奪戦になるレコードの代表。このレコードを2年ぶりに入荷です。関心のある方はコメントください。 写真は2年前に紹介した英ANGEL盤ですが、今回「英EMI ASD 2751」盤を入手できました。

Media_httpwwwotemoyan_efqfr

アマデウスクラシックス! 稀少アナログ、オリジナル盤通販サイト:SOLDOUT★ドヴォルザーク:チェロ協奏曲/デュプレ via amadeusclassics.otemo-yan.net

《蓄音器の音》聴きませんか - ワインガルトナーの《第9》, 第1楽章 LX 413-A

年末は今年も《恒例の第9》。昭和10年、日本コロムビアの要請で録音セッションを快く受け入れたワインガルトナー指揮ウィーン・フィルの晴朗な響きを聞いて良い年を迎えましょう。ワインガルトナーの作り出した音楽は、双璧と言えるフルトヴェングラーのドイツ風の重厚さとは、好対照の優美に流れる《第9》。これがウィーン的なベートーヴェン。戦後のウィーン・フィルの音も素晴らしいものでは在るけれども戦前のウィーン・フィルのしなやかで柔らかい絹の肌触りのような美音は、8枚のSP盤の両面に刻まれた音の記憶として、永遠に聴かれ続けていくのでしょう。

2480

昨年の例会の録音を聞き直してみたら、第2楽章にスポットを当てて解説をしていました。その中で第1楽章について、ワインガルトナーの演奏は第1楽章を聴いただけで、先を聴く気持ちがだれてしまう。と言っていました。

2011年12月10日土曜日

【蓄音器の音】実際に聴きませんか - 第284回 蓄音器でレコードを楽しむコンサートのご案内

年末は今年も《恒例の第9》。昭和10年、日本コロムビアの要請で録音セッションを快く受け入れたワインガルトナー指揮ウィーン・フィルの晴朗な響きを聞いて良い年を迎えましょう。ワインガルトナーの作り出した音楽は、双璧と言えるフルトヴェングラーのドイツ風の重厚さとは、好対照の優美に流れる《第9》。これがウィーン的なベートーヴェン。戦後のウィーン・フィルの音も素晴らしいものでは在るけれども戦前のウィーン・フィルのしなやかで柔らかい絹の肌触りのような美音は、8枚のSP盤の両面に刻まれた音の記憶として、永遠に聴かれ続けていくのでしょう。

284a

第284回 蓄音器でレコードを楽しむコンサート。

日時:平成23年12月18日(日) 午後1時30分より

場所:熊本博物館 2階研修室。

第1部は、『ベートーヴェン作曲 交響曲第9番《合唱》』。

2011年12月6日火曜日

《気ままにクラシック・エッセイ》ザルツブルクとモーツァルト - 12月5日、午前0時55分にモーツァルトは天に帰った。

聖歌が 街に溢れる 青い空。
空模様が雪景色にはほど遠い感じで、熊本の天気は一部曇り、最高気温も16度ある穏やかさ。暦と気持ちだけが師走を感じています。

聖歌がふさわしくなるのはまだまだのようですが、クリスマスソングが街の通りの店ゝでながれています。鶴屋百貨店のショーウインドウには、クリスマスセールのデコレーション。今年からクマモンが目だって登場。なのに、静かな交差点だと感じていた。そう、8月にパルコのタワーレコードが撤退していたんだ。毎年12月になると新しいクリスマスチューンが賑やかに聞こえていたんだ。

2011年12月3日土曜日

我らの知恵に明かりを灯し、 愛で我らの心を満たしたまえ。宇宙全体が音をたてて鳴り響き始める音楽。 - マーラー没後100年 N響コンサート 午後6時から

宇宙全体が音をたてて鳴り響き始めるのを想像してください・・・指揮者メンゲルベルクに宛てたマーラーの手紙にある《一千人の交響曲》についての有名な言葉です。「内容においても形式においても他の作品とはすべてが異なっている」とマーラー自身が曲を解説しているように、破格の規模の交響曲。演奏会では通常のステージに納まらなくて、オペラの上演の時の様に客席全面に張り出すようにオーケストラや合唱団が並びます。

Nhk2011dec3

バンダと呼ばれる、ステージ上のオーケストラ以外に別働隊も居たり、それがライヴの醍醐味。今夜、午後6時からNHK交響楽団の定期演奏会がNHK-FMで生中継されます。

2011年12月1日木曜日

第284回 蓄音器でレコードを楽しむコンサートは恒例《第9》

昭和10年、日本コロンビアの要請で録音されたワインガルトナー指揮ウィーン・フィルの晴朗な響きを聴いて良い年を迎えましょう。双璧と言えるフルトヴェングラーのドイツ風の重厚さと好対照の、優美で典雅に流れる《第9》。戦前のウィーン・フィルのしなやかで柔らかい絹の肌触りのような美音は、8枚の音盤の記憶として永遠に聴かれ続けていくのでしょう。

2480

昨年の例会の録音を聞き直してみたら、第2楽章にスポットを当てて解説をしていました。その中で第1楽章について、ワインガルトナーの演奏は第1楽章を聴いただけで、先を聴く気持ちがだれてしまう。と言っていました。

Text Widget

Text Widget